
このページのまとめ
海外で働くなら就労ビザは必須
就労ビザの取得要件は国によって異なる
就労ビザの取得には、たいてい学歴や職歴が要求される
就労ビザを申請するなら、まず海外企業の内定が必要
海外で働きたい方の中には「就労ビザの取得は難しい」と聞いたことがある人もいることでしょう。
海外で働くのに必須の就労ビザは、誰でも取れるというわけではありません。国は自国の雇用を守るため、就労ビザに取得要件を設定しています。このコラムでは、就労ビザの概要から、国別の就労ビザ取得要件、就労ビザ取得の流れまでを解説しています。海外で働きたい方はぜひ参考にしてください。
就労ビザとは

VISAと書かれた木のブロックと飛行機の置物の画像
就労ビザは、文字通り働くことが許可されたビザのことです。
まずはビザについて確認してみましょう。
ビザとは
国は、自国の経済や安全を守るため、入国者の身分や入国の目的を確認したうえで、「入国させても大丈夫かどうか」を審査しています。ビザは、その審査を通過したことを証明するもの、いわば入国許可証といえるものです。ビザには主に、入国できる日付や、入れる地域、訪問可能な回数、滞在期間、就労の可否などが記載されています。
ビザの形態は、パスポートに押印するものや、別紙になっているもの、電子データ化されているものなどさまざまです。
ビザの申請は在外公館へ
ビザの発行元は各国の外務省です。取得するには在外公館(大使館や領事館)に申請する必要があります。申請の条件を満たしているか、必要書類は揃っているか、書類の信頼性はあるかなどの審査がされたのち、問題ないと判断されればビザが支給されます。
観光等が目的の短期渡航ならビザが必要ない国もある
海外渡航に際してビザは必ずしも必要とは限りません。
経済状況や治安が安定している国の人の場合、観光等が目的の短期渡航ならビザが必要ない国もあります。日本はパスポートの信頼性が高い国です。観光等が目的の短期渡航なら191カ国にビザ無しで入国できます(電子認証等は必要)。
入国できるかは入国管理局・入国審査官の判断
入国できるかどうかは入国管理局が判断します。ビザなしの渡航だけでなく、ビザを持っていたとしても入国できるとは限らないので注意が必要です。
渡航目的や渡航の頻度、当日の服装、持ち物などに不審な点があれば、取り調べを受けます。そこでもし、不法就労のような疑いが掛けられると、入国拒否されてしまうこともあり得ます。また、書類や経歴に問題がなくても、渡航目的がうまく伝えられず、誤解が生じ入国できなくなる、ということもあるようです。渡航目的や滞在期間などはきちんと伝えられるようにしておくと良いでしょう。
パスポートとビザの違い
ビザには入国許可証としての役割があるのに対し、パスポートは世界に通用する身分証明証としての機能があります。
そのため、パスポートは、ビザの申請や出入国、海外で身分を証明する際などに用います。
参照元
外務省「パスポート(旅券)」
海外で働くなら就労ビザが必須
観光等が目的の短期渡航ならビザが必要ない国もありますが、それ以外の場合、目的に応じ適切なビザを取得する必要があります。渡航先ではビザに定められた行為以外はできないので、就労が目的なら就労可能なビザを取得しなければなりません。
就労ビザは自国の雇用を守るために設けられた制度です。
たとえば、もし日本にビザによる規制がなければ、安い賃金で働ける外国人労働者が大量に入国し、自国民の失業率を高めてしまうほか、賃金が海外に流れてしまい経済力の低下を引き起こしてしまうでしょう。
就労ビザは国によってさまざまな種類がある
出入国の管理制度は各国が独自に定めているので、ビザの種類や名称は国によって異なります。また、ビザのほかに労働許可書を発給している場合もあります。
取得要件や費用、発給までの時間はそれぞれ異なるため、働きたい国についてはよく調べておきましょう。
日本の場合(外国人が日本に来る場合)
日本の場合、入国には「査証」が必要で、滞在には「在留資格」が必要になります。つまり、査証=ビザなのですが、一般的には査証と在留資格をどちらも「ビザ」と表現します。たとえば、「外国人のビザの更新」は「在留期間の更新」を意味している場合がほとんどです。
在留資格にもさまざまな種類があり、なかには就労可能な在留資格もあります。日本では就労可能な在留資格を指して「就労ビザ」といいます。
日本で就労ビザと呼ばれる在留資格には以下のようなものがあります。
【就労可能な在留資格】
教授、芸術、宗教、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習
就労ビザがないのに働いてしまうと
就労ビザがないのに働いてしまったり、許可された範囲を超えて働いてしまったりすると、日本で言う「不法就労」にあたります。
罰金やビザ取り消し、強制送還、再入国制限といったペナルティを課せられてしまうこともあるので、注意しましょう。
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【13カ国】就労ビザの取得要件

就労ビザや労働許可証にはさまざまな種類があります。本項では13カ国について一部を抜粋して紹介します。
なお、就労ビザ取得のハードルは、国の施策や国際情勢で変化します。また、以下に紹介する条件もすべてが絶対的な基準ではありません。そのため、目安として確認してみてください。
アメリカ
就労ビザの申請前に、i-129フォーム請願書による就労許可が必要です。
【H-1B(特殊技能職)】
・米国の雇用主が外国人を雇用するためのビザ
・学士以上、もしくは同等の学位が必要
・職務内容がSpecialty Occupation(専門職)である必要がある
・発給枠が決まっている
【L-1 (企業内転勤者)】
・多国籍企業の職員が、米国内に一時的に転勤するためのビザ
・管理職または役員、もしくは専門職である必要がある
中国
就労許可(外国人工作許可)が必要です。
【Zビザ】
・中国に就労するのに一般的なビザ
・原則大卒以上
・職歴、年齢、収入などをポイントにして合計ポイントで判断
韓国
就労ビザを申請する前に、就労ビザ発行許可(CCVI)を取得する必要があります。
【D-7(企業内転勤ビザ)】
・転勤者用のビザ
・同ポジションで1年以上働いている必要がある
【E-7(特定活動ビザ)】
・韓国で働くのに一般的な就労ビザ
・修士以上の学歴、大卒以上+1年以上の職歴、5年以上の職歴等の一般要件がある
・世界的企業や有名大学卒の場合、優遇があることも
香港
入国時にビザが発行されます(就労ビザ許可)。
【General Employment Policy】
・一般向けの就労ビザ
・原則大卒以上
・同職種の経験が必要。また、職歴が長ければ学歴要件が緩和されることも
台湾
労働許可と居留ビザが必要です。
【労働許可】
・高卒、専門卒、短大卒の場合、社会人経験5年以上必要
・大卒の場合、社会人経験2年以上必要
タイ
就労ビザと労働許可が必要です。労働許可は入国後に取得します。また、自国民の雇用を守るため、特定業種には就職できません。
【Non-Immigrant B (Business) 】
・月収50,000バーツ以上
・学歴や社会人経験の要件なし
ベトナム
就労ビザと労働許可を取る必要があります。
【労働許可書(ワークパーミット)】
・管理職、専門家、技術者の3種類で申請可能
・管理職は、機関・組織のトップ、またはトップから委任された者
・専門家は、学士+当該分野の経験3年、もしくは5年の実務と専門資格が必要
・技術者は、1年以上の専門教育を受け当該分野3年の経験、もしくは5年の実務経験が必要
シンガポール
入国前にオンライン申込みが必要です。入国後、人材開発庁(MOM)との面接を経て発給されます。
【Employment Pass】
・専門職やマネージャー向けのビザ
・政府が認めた大学の卒業資格が必要
・最低給与の指定あり
【S Pass】
・シンガポール人従業員一定数に対し、枠を与えられるビザ
・専門、短大卒以上
・最低給与の指定あり
マレーシア
企業側に資本金の要件が定められています。
【Employment Pass】
・マレーシアで働くのに一般的なビザ
・職歴が必要。大卒で3年、短大卒で5年、高卒で7年
・最低月収でのカテゴリー分けがあり、雇用期間などが異なる。
インドネシア
VTT(ビザ発給許可)やIMTA(就労許可証)、KITAS(滞在許可)などが必要です。
【C312(仕事のための一時滞在ビザ)】
・大卒等、就労予定の役職に見合った学歴があること
・あるいは5年以上の職歴があることや、能力証明ができること
・専門性が高さが見られる
フィリピン
就労ビザ以外に就労許可も必要です。
【9(g)ビザ】
・フィリピンで働くのに一般的なビザ。駐在員もこのビザを取得する
・学歴要件や職歴要件はない
・日本人でなければならないポジションである必要がある
インド
オンライン申請をしてから在日インド領事館に書類提出します。
【Employment Visa】
・インドで働くのに一般的なビザ
・新卒からビザが取れるが、社会人経験3年以上が望ましい
・最低年収1,625,000ルピー
メキシコ
移民局INMからNUT番号を取得したのち、メキシコ大使館・領事館で面接を受けます。
【Residente Temporal(一時居住者用査証)】
・180日以上4年以下の滞在で、働くのに必要なビザ
・就労ビザはメキシコ国内で身分証となる。銀行口座を開くこともできる
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就労ビザを取得する方法・手順

就労ビザの取得手順は一律ではありませんが、本項では一般的な就労ビザ収録までの流れを紹介します。
1.内定をもらう
就労ビザを取得するには、就職先が決まっていることが前提です。まずは内定を取得しましょう。
外国人の受け入れを行っている企業は、内定を出すにあたり、応募者がビザの取得要件をクリアしているのか確認します。そのため、内定が出ればビザの取得要件も満たしているといえるでしょう。
2.必要書類を集める
卒業証明書や職務経歴書、健康診断書など、取得したいビザの種類によってさまざまな書類が必要になります。書類の発行に時間がかかる可能性もあるので、早めに集め始めましょう。
3.申請する
各国の大使館・領事館に、就労ビザの申請をします。
一部、国内でのみビザの受付を行っている国もあるので、その場合は渡航して申請する必要があります。
また、内定先の会社が就労ビザ取得の手続きを代行してくれたり、現地の専門家に取得を依頼することもできるので、確認しておきましょう。
就労ビザ取得にかかる時間
就労ビザは申請から数日で発給されることもあれば、数ヶ月かかることもあります。申請は余裕をもって行うのが良いでしょう。
「就労ビザの取得はハードルが高く感じる…」という方は、就労ビザが取りやすい「メキシコ」を選択肢に入れてみてはいかがでしょう。
メキシコは、日本の自動車メーカーの進出を皮切りに、日系企業の進出が相次いでおり、海外の就職先としても注目されている国です。また、就労ビザ取得のハードルも高くないので、特に海外就労の経験が少ない方に適しているといえます。
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