このページのまとめ
- 2023年1月時点、メキシコの治安は不安定な状態
- 殺人や強盗などの凶悪犯罪が多発している
- 観光地やリゾート地周辺は、観光業発展のためしっかり警備されていることが多い
- 観光地の明るく人気の多いエリアにいるうちは基本的に安全
- スリやひったくり、置き引きには常に警戒する必要がある
- 貴重品を見せない、荷物を肌身離さず持ち歩くなど、基本的な安全意識が常に必要
メキシコ渡航を検討している方に向け、メキシコの治安事情と滞在の際の注意点について紹介します。メキシコ渡航の前に、具体的な被害事例や注意点について学んでおきましょう。
また、本コラムを提供するレバレジーズキャリアメキシコでは、日本人のメキシコでの就職をサポートしています。海外で働くにあたって、メキシコも視野に入れている方は、ぜひご相談ください。
メキシコの治安事情
メキシコの治安は不安定な状態が続いています。殺人や強盗などの凶悪犯罪が頻発しており、治安は悪化の一途を辿る状態です。日本人旅行者に関していえば、命を狙われたり誘拐されたりすることはほぼありませんが、詐欺や窃盗、強盗の被害に遭う事例は発生しています。自分の実を守るためにも、メキシコへ行く際は外務省「海外安全ホームページ」などで具体的な治安情報を調べておきましょう。治安事情は情勢によって変化するので、最新情報をチェックしておくことをおすすめします。
なお、日本で報道されるようなメキシコの凶悪犯罪は、多くは麻薬組織同士の抗争に関係する事件です。そのため、観光客が凶悪犯罪のターゲットにされる可能性は低いですが、銃撃事件などに巻き込まれる状況も起こり得ます。また、麻薬組織とつながっている麻薬の売人に声をかけられることもあるので、旅行中は気を緩めず常に警戒するようにしましょう。
メキシコは日本の約5倍の国土を持つ広大な国で、治安事情は地域ごとにばらつきがあります。観光地として有名なエリアは基本的に安全度が高い傾向にあるので、危険な区域を把握して、足を踏み入れないことが重要です。
関連記事:メキシコ暮らしの基礎知識!メキシコの生活習慣や文化について解説!
参照元
外務省「海外安全ホームページ」
日本人の被害事例・気をつけること
メキシコで日本人が気をつけるべきなのは、車上狙いやスリ、置き引きなどです。在メキシコ日本国大使館「2022年邦人被害概況」では、以下のような被害が報告されています。
【2022年邦人被害概況 届出件数・犯罪手口】
届出件数 | 車上狙い(窃盗) | 置き引き(窃盗) | すり(窃盗) | 侵入盗(窃盗) | その他窃盗 | 強盗 | 詐欺 | 殺人 | 暴行・傷害(発砲を含む) | 脅迫・恐喝 | その他 |
30件 | 8件 | 0件 | 5件 | 1件 | 1件 | 10件 | 3件 | 0件 | 1件 | 1件 | 0件 |
参照元:在メキシコ日本国大使館「安全情報 2022年邦人被害概況」
メキシコ渡航中は、窃盗や強盗に用心しましょう。「人気のない場所を通らない」「目立つ格好をしない」「多額の現金を見せない、持ち歩かない」といった基本的な安全意識を持つことが重要です。以下で具体的な犯罪事例と対策について確認してみましょう。
事例:ATM利用中にカード詐欺
2022年3月5日、ハリスコ州グアダラハラ市にて発生。
スーパーマーケット内に設置されたATMで現金を引き出し帰ろうとした際、2人組のメキシコ人に「現金を取り忘れている」と言われました。ATMを振り返ると紙幣が残っていたそうです。犯人が「もう一度ATMを操作しなければならない」とまくし立てるので、少額の現金を引き出しました。
1週間後、カードがすり替えられ、残高がゼロになっていることが判明。犯人はATM操作中にカードのすり替えと暗証番号の確認を行っていたようです。
【対策】
ATM利用中に近づいてくる人物には注意しましょう。また、カードや現金は素早く回収し、目を離さないようにすることが重要です。ATM操作に慣れないうちは同行者と2人以上で操作すると良いでしょう。
外務省海外安全ホームページ「注意喚起:カード詐欺被害及び強盗被害の発生について」
事例:自動車運転中の拳銃を使った強盗
2022年4月25日、グアナファト州アパセオ・エル・グランデ、オブラフエロ地区にて発生。
ケレタロ州方面の一般道を乗用車で進行中、白い車が横付けし、助手席の覆面の男が拳銃を向けて停車するよう指示してきました。停車後、3人の男が接近。降車して携帯電話と車の鍵を渡すよう要求されたため、手渡しました。
被害者は後部座席に乗るよう指示され、犯人の運転で10分ほど走行。車から降ろされ、5分経ったら動いても良いと指示されたのち、解放されました。
【対策】
都市間の移動は、集落を避けて高速道路や幹線道路を使用しましょう。治安当局が巡回しています。慣れない道でカーナビを利用する際は最短ルートが表示されるので、運転手の判断で危険な道は避けましょう。
外務省海外安全ホームページ「注意喚起:強盗被害の発生について」
事例:携帯電話のひったくり
2022年5月3日、メキシコ市ポランコ地区にて発生。
邦人女性が交差点で携帯電話を見ながら信号待ちをしていたところ、2人乗りのバイクが携帯電話を奪って逃走しました。
【対策】
比較的治安の良い地域でも外出時は細心の注意を払いましょう。また、ひったくり犯は予め標的を見定めているので貴重品や携帯電話を外に出さないようにしておきましょう。ひったくりに遭った際、バッグが体から離れず引きずられたり、抵抗して暴行されたりすることもあるので注意が必要です。
外務省海外安全ホームページ「メキシコ市ポランコ地区におけるひったくり事件の発生」
事例:コンビニ駐車中の車上荒らし
2022年10月13日、グアナファト州イラプアト市で発生。
コンビニエンスストアの駐車場に車を停め、5分程度の買い物をして戻ってきたところ、助手席の窓が割られてリュックやコンソールボックス内のサングラスが盗まれていました。車は外から荷物が見えないように対策済み。駐車場には数名が乗った車が2台止まっており、店舗に入るまでの間見られているような感じがしたそうです。
【対策】
メキシコは車上狙いが多発しているので、車を離れる際は必ず鍵を掛けて貴重品は持ち歩くようにしましょう。また、路上駐車は行わず、なるべく店舗の駐車場に停めましょう。店舗の駐車場でも、警備員が監視していない場所は注意が必要です。
コンビニエンスストアで駐車中の車上狙いが頻発しており、特に短時間で行われる車上狙いは駐車したときから犯人に監視されている可能性があります。駐車の際は周囲を確認し、誰かに見られているように感じたら注意しましょう。
外務省海外安全ホームページ「注意喚起:車上狙い被害の発生について」
関連記事:メキシコ赴任が決まったら?メリットや治安事情、持ち物について解説
主要エリアの治安情報
ここでは、日本人が訪れることの多い主なエリアの治安について紹介します。観光スポットやリゾート地など、日本人が行くことの多い場所は基本的に治安の良いエリアであることが多いです。ただ、情勢によって治安は変化するので最新情報を調べておきましょう。
メキシコシティ
都市圏人口約2000万人を擁する世界最大級の都市であるメキシコシティ。メキシコの首都であり、政治経済の中心地となっている都市です。スペイン領時代の歴史的建造物や古代文明の遺跡など観光スポットも多数存在するので、ビジネスはもちろん観光目的でも多くの日本人が訪れています。
メキシコシティは、観光で訪れるぶんには比較的安全な都市です。観光業を発展させるため、観光地を中心に警察が目を光らせています。一方、市内には危険なエリアも存在するため、誤って足を踏み入れないよう注意が必要です。外務省「海外安全ホームページ」では、メキシコシティの危険レベルは「レベル1:十分注意してください。」に設定されています。
メキシコシティの治安の良い地域
【ソカロ(中央広場)周辺】
ソカロ周辺は、歴史地区の中心地で有名な観光スポットが多数存在するエリアです。街並みが美しく、グルメやショッピングを楽しめるスポットが多いため、歩いて散策することもできます。
【ポランコ地区】
ポランコ地区は、高級ブランドショップが立ち並ぶエリアとして有名です。外国人や裕福なメキシコ人が暮らす高級住宅街なので、セキュリティがしっかりしており治安が安定しています。
【コヨアカン地区】
コヨアカン地区は、高級住宅街や博物館が立ち並ぶセキュリティのしっかりしたエリアです。緑豊かな公園の周りにはカフェやレストラン、露店が並び、市民の憩いの場となっています。
【レフォルマ通り周辺】
メキシコシティ中心部の大通り「レフォルマ通り」周辺は、オフィスビルやホテルが立ち並ぶ近代的な街並みです。グルメスポットも多く、警察が巡回していることから夜出歩けるほど治安が安定しています。
メキシコシティの危険なエリア
メキシコシティには治安の不安定な地域があります。以下で紹介する地域は、凶悪犯罪が発生することもある危険な地域なので注意しましょう。
【テピート】
テピートは、メキシコ国内で見ても特に危険なエリアの一つです。路上マーケットは一見賑やかですが、コピー商品や盗品が出回っているほか、奥地では武器や薬物のやり取りが行われています。強盗や誘拐、殺人事件といった凶悪犯罪が頻繁に発生しており、地元の人も寄り付かないエリアなので、観光客は近づかないようにしましょう。なおテピートは、観光地である歴史地区から北に1kmほどの場所にあるため誤って入らないよう注意が必要です。テピート付近に観光スポットはないため、観光地を離れて不用意に歩き回らないようにしましょう。
【イスタパラパ】
イスタパラパはメキシコシティ国際空港の南にあり、殺人や強盗など凶悪犯罪の発生率が高いエリアです。スラム街があるほか、麻薬組織が関わる街でもあるので、雰囲気からしてほかの地区と異なります。観光スポットがあるわけでもないので、出歩かないようにしましょう。
関連記事:メキシコの首都「メキシコシティ」の魅力を徹底解説!
カンクン
カンクンは、世界的に有名なメキシコを代表するビーチリゾート地です。カンクンの治安は基本的に安定しています。特に旅行客が宿泊する海岸沿いのホテルゾーンは安全で清潔。警備や監視がしっかりされているので、安全性は高いといえるでしょう。
リゾート地として知られるカンクンですが、内陸部には地元民が多く住む繁華街エリアもあります。リーズナブルなホテルが多いため、滞在費を抑えたい旅行者に人気な一方、安全なホテルエリアに比べると治安は少し心配。夜に出歩くことはおすすめしません。
関連記事:メキシコのリゾートといえばカンクン!魅力的な観光スポットもご紹介
プラヤ・デル・カルメン
プラヤ・デル・カルメンは、カンクンから車で1時間ほどの距離にある小さめのリゾート地です。観光地周辺は警察が目を光らせており、治安は安定しています。バーやダンスクラブといったナイトスポットが多数存在する町なので、観光客も夜の街を楽しむことができるでしょう。「5thアベニュー」というメインストリートは活気があって旅行者にも人気ですが、それより内陸には若干治安の安定しないエリアもあります。危険そうなエリアには足を踏み入れないのが無難です。
グアナファト
グアナファトは、スペイン領時代のカラフルな街並みが特徴の都市です。治安は基本的に安定しているので、夜出歩いても問題ないでしょう。夜は街がライトアップされ、音楽団や観光客で賑わいます。ただ、路地裏や地下道は一部治安の悪いところがあるので避けましょう。
グアダラハラ
「西部の真珠」といわれるほどの美しい街並みを有する、メキシコ第二の都市グアダラハラ。宮殿のような造りの「グアダラハラ大聖堂」をはじめとする多数の観光スポットが市街に集中しており、日中は歩いて散策することができます。観光地は警察が巡回しているので基本的に安全です。夜になるとコロニアル建築の街並みがライトアップされて写真映えするスポットになります。ただ、日が落ちると観光地も人通りが少なくなるので軽犯罪に注意しましょう。
関連記事:メキシコ・グアダラハラ観光には外せない!おすすめスポット14選を紹介
行ってはいけない危険なエリア
メキシコには日本人観光客が行くべきでない危険なエリアも存在します。凶悪犯罪に巻き込まれるリスクが高いため興味本位で立ち入らないようにしましょう。
チルパンシンゴ
ゲレロ州チルパンシンゴは、外務省「海外安全ホームページ」のなかで、メキシコで唯一「危険レベル3:渡航は止めてください」の渡航中止勧告が出されている危険な都市です。犯罪組織の抗争や警察組織との衝突が発生しており、殺人や誘拐が横行しています。治安改善のために国家警備隊が配置されているものの、目立った成果は得られていない状況です。
また、チルパンシンゴ周辺の地域も「危険レベル2:不要不急の渡航は止めてください」に指定されています。ゲレロ州には不用意に近づかないようにしましょう。
アメリカとの国境地帯
アメリカとの国境地帯には危険なエリアが複数存在します。特に、バハ・カリフォルニア州ティファナやチワワ州シウダー・フアレス、タマウリパス州ヌエボ・ラレードは要注意。麻薬組織が活動しているほか、犯罪を犯してメキシコに逃げてきた人やアメリカを目指してやってきた人々が集まっており、犯罪行為が多発している状況です。また、組織間の抗争や警察組織との衝突も発生しており、殺人事件や銃撃戦が頻発しています。国境付近の危険地帯には近づかないようにしましょう。
関連記事:メキシコの治安事情。危険地帯・流行りの犯罪・渡航時に気をつける点を解説
メキシコ滞在中に気をつけること
日本は世界的に見ても治安の良い国です。日本と同じような安全意識で海外へ行くと、思わぬ犯罪に巻き込まれるリスクがあります。たとえ治安の良い地域であっても、メキシコでは以下のような基本的な安全意識を常に持っておきましょう。
夜の独り歩きはなるべくしない
海外では、夜の独り歩きは危険というのが常識です。夜間は犯罪に巻き込まれるリスクが増加するので独り歩きはなるべく控えたほうがいいでしょう。また、夜出歩く際は人通りが多く明るい道を選ぶことをおすすめします。路地裏など雰囲気の異なる場所に踏み込むのは避けましょう。
人混みではリュックを前に持つ
人混みで気をつけたいのが、スリやひったくりといった窃盗事件。街歩きをする際は、ファスナー付きのリュックを前に抱えるように持って用心しましょう。
荷物は肌身離さず持ち歩く
飲食店でトイレに行くときなど、ほんの短い時間であっても、荷物から目を離すと置き引きされる可能性があります。荷物は常に肌身離さず持ち歩くようにしましょう。
貴重品はむやみに見せない
カメラや財布、スマートフォンなどの貴重品をむやみに見せないようにしましょう。また、貴重品はポケットに入れているとバスや電車で盗まれることがあるので、衣服の内ポケットに入れるのがおすすめです。空港でも貴重品は預けずに手荷物で持ち込むようにしましょう。
地下鉄はラッシュの時間を避ける
メキシコシティには地下鉄が12本通っており、日本の地下鉄と同じように便利に利用することができます。ただ、スリやひったくりには要注意。特に朝と夕方は通勤ラッシュで混み合うので、なるべく避けるようにしましょう。
流しのタクシーはなるべく使わない
タクシーを使う際は、無線タクシー(シティオ)や空港タクシーなど、予約制のものを利用しましょう。リブレと呼ばれる流しのタクシーや無許可タクシーは利用しないほうが賢明です。運転手と犯罪組織がグルになっており、金品を強奪される被害が報告されています。また、配車アプリは比較的安全とされていますが、乗る前にナンバーや運転手を確認して、自分が呼んだ車両かどうかチェックしましょう。
海外旅行保険に加入する
海外旅行保険に加入しておけば、メキシコ滞在中にトラブルに巻き込まれた場合や医療機関にかかった場合にサポートを受けることができます。万が一に備えて加入しておいたほうが良いでしょう。
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