このページのまとめ
- ワーキングホリデーとは一定の期間、海外で旅行や休暇、勉強、就労ができる制度のこと
- ワーキングホリデー後の就職には、帰国して就活する方法と現地採用で働く方法がある
- 帰国して就活するなら、ワーキングホリデーの目的や得たスキルを明確にするのが重要
- 現地採用で働くなら、高い語学力と専門スキルの習得がポイント
- ワーキングホリデー中の仕事は、希望する職種に関係するものにする
ワーキングホリデー(ワーホリ)で海外暮らしをしたいけれど、その後の就職に影響しないか心配…という方がいるのではないでしょうか。実はワーキングホリデーは休暇を意図した制度なので、就活で適切なアピール方法を知らないと、ワーキングホリデー経験のアピールは企業にネガティブな印象をを与えかねません。
そこで、このコラムではワーキングホリデー後の就職方法と、ワーキングホリデーの経験を活かす方法をご紹介します。
ワーキングホリデーとは
ワーキングホリデーとは、2国間の協定に基づいて青少年の休暇目的の入国と、滞在資金を補うための就労を認める制度のことです。青少年に異文化を学ぶ機会を提供することや、両国間の相互理解を深めることを主な目的としています。
ワーキングホリデーを利用できるのは、査証申請時の年齢が18歳~30歳の日本人です。査証などの申請は、基本的には駐日外国公館に行います。申請には、子どもや扶養者が同伴しないことや、生計を維持できる程度の資金を有していることなどの条件を満たしていることが必要です。
日本がワーキングホリデー協定を結んでいるのは、令和2年4月1日段階では後記の26カ国。国ごとにワーキングホリデー査証の年間発給数(定員)や最長滞在期間は異なっています。ただし滞在期間については、どの国でも概ね1~2年程度というのが一般的です。また一部の国を除き、原則ワーキングホリデー制度は国ごとに1度しか利用できません。
ワーキングホリデーで最も特徴的なのが、休暇・旅行・勉学・就労・生活など、海外での暮らしを総合的に体験できることです。たとえば、観光ビザと呼ばれる短期滞在査証では、就労は認められていません。その点で観光や就労の両立が認められているワーキングホリデーは特殊な制度だといえるでしょう。ただし、休暇を過ごす意図が主になるため、就労が第1目的の渡航は認められていません。
昨今においては、航空機運賃の低価格化や、インターネットの普及で情報収集がしやすくなったことにより、海外渡航がより容易になりつつあります。社会状況もグローバル化へと向かい、海外志向の働き方も多様化しているといえるでしょう。そこで、語学スキルを磨くため、専門スキルを修めるため、海外にしかない企業で働くため、ワーキングホリデーの活用が注目されています。
〈ワーキングホリデー協定国〉
オーストラリア / ニュージーランド / カナダ / 韓国 / フランス / ドイツ / イギリス / アイルランド / デンマーク / 台湾 / 香港 / ノルウェー / ポルトガル /ポーランド / スロバキア / オーストリア / ハンガリー / スペイン / アルゼンチン / チリ / アイスランド / チェコ / リトアニア / スウェーデン / エストニア / オランダ
参照元:外務省 – ワーキング・ホリデー制度
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ワーキングホリデー後の就職の方法
ワーキングホリデー後に、見据えなければならないことのひとつが就職です。おそらくは「ワーキングホリデーの経験を就職活動に活かしたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。そこで、まずはワーキングホリデー後の就職方法の選択肢について確認してみましょう。その選択肢とは、おおよそ以下のとおりです。
- ワーキングホリデー後に帰国して日本で就職活動をする
- ワーキングホリデー先の国で勤務先を見つける(現地採用)
それぞれの選択肢について、就職の方法を以下にご紹介します。
ワーキングホリデー後に帰国して就職活動
ワーキングホリデー後に帰国して、日本で就職活動をする方法です。
日本での就職活動において、ワーキングホリデーの経験は「語学力」や「異文化圏でも通用するコミュニケーション能力」「トラブル対処能力」「国際力」などがアピールする材料になり得ます。上記のようなスキルを評価している企業では、ワーキングホリデーで得た経験は、就職において強みになるといえるでしょう。
一方で、ワーキングホリデーは休暇を主な目的とする制度のため、ただ「ワーキングホリデーの経験があります」とアピールするだけでは、職歴の空白期間として捉えられ、むしろマイナスイメージに繋がる場合があります。そのため、志望する企業に対しては、「ワーキングホリデーの目的」と「ワーキングホリデーで得たスキル」「そのスキルをどう活かせるか」を明確にするのが大切です。
帰国する時期と就活の準備を始める時期がポイント
日本では、一般的に求人が増加する時期は「2、3月」と「8、9月」だといわれています。それぞれ新年度と下半期のスタートに合わせ、企業が人員を募集しようと求人を出すためです。これを踏まえると帰国して就職活動をする場合には、2つの選択肢が考えられます。
「求人が増加する時期の直前に帰国して、スムーズに就職活動に入る方法」と「求人が増加する時期とずらして帰国し、就職活動の準備に時間を割く」の2つです。たとえば帰国後に、資金面や履歴面を考慮して、すぐに就職したい場合には、求人増加時期の直前に帰国するのが良いでしょう。あるいは就職活動が初めての場合や、業界研究に時間を掛けたい場合には、求人増加時期よりも早めに帰国することも有効です。ただしどちらの場合でも、帰国前のワーキングホリデー中から、あらかじめ自己分析や業界研究などを済ませ、事前準備をしておくのが良いといえるでしょう。
またワーキングホリデー先の国の滞在可能期間をよく確認して、スケジュール通りの時期に帰国できるように出発時期を調整するのが望ましいといえます。
帰国して就職活動するには
帰国後の就職活動は、基本的に一般の就職活動と相違ありません。
ワーキングホリデーで得たスキルをどのように活かせるかを常に考えながら企業を探すのが大切になるでしょう。
転職エージェントの活用
豊富な求人情報を有する転職エージェントは、求職者に対し、面談を通じて各個人に適した企業を紹介することができます。求人サイトに載っていないような、職場の雰囲気や仕事内容といった内部情報を所有しているので、雇用上の条件だけでなく性格や希望に合わせた求人情報が得られることが特徴的です。
ワーキングホリデー経験者の場合、希望の職種、自己分析結果、所有する資格、前職の経験、学校の専攻などを加味したうえに、ワーキングホリデーで得たスキルが活かせる職場を探す必要があるといえます。転職エージェントはこれらの事情や状況を全て加味した上で、求人情報を提示することができるので、ワーキングホリデー経験者にとって転職エージェントの活用は効率のいい就職活動だといっても差し支えないでしょう。
求人サイトに登録
求人サイトでは、希望の職種、勤務地、事業規模など、サイト側の設けた項目で企業情報を子細に検索することができます。就職活動が自分のペースでできることや、情報収集に時間が掛かりにくいこと、企業同士の情報を見比べられること、インターネット環境があればどこでも利用できることなどが魅力です。
基本的にマッチングと仲介がないことや、多くの企業の中からエントリーする企業を絞る必要があることなどを踏まえると、転職エージェントに比べて自ら行動を起こす主体性と労力が必要だといえるでしょう。ただし就活の準備段階から企業情報を仕入れることができたり、締め切り間近のエントリーに素早く応募できたりするので、就職活動におけるさまざまな場面で活用できます。他の就職活動に併せて求人サイトに登録するなど、工夫をしても良いかもしれません。
合同説明会など就活イベントに参加
合同説明会などの就活イベントに参加するのも有効な手段の1つです。
合同説明会は、就職活動時期である3月~8月に頻繁に開催されるため開催時期に偏りがあり、また大半は定員が設定されています。開催場所や日程も決まっているので、都合によっては参加できないこともあるかもしれません。
合同説明会では、さまざまな企業の情報を、実際に働く社員の方から聞くことができます。興味のなかった業界についても、説明を聞くうちに興味が湧くようになるかもしれません。そういった意味で、合同説明会は様々な企業の情報を効率よく集められ、かつ視野を広げるチャンスになるといえるでしょう。
ワーホリ経験が生かせる職種
ワーキングホリデー後、帰国して就職活動する際に重要なのが、職種選びです。ワーキングホリデーで得たスキルをアピールできるような職種を探すと、就職に有利だといえるでしょう。以下に挙げるのは、ワーキングホリデーで得たスキルを活かしやすい職種の例です。
- ホテルマン(ホテリエ)
- ツアーコンダクターやツアーガイド
- 翻訳者、翻訳家
- 留学エージェント
- 外資系の会社員
- 海外事業に積極的な会社の社員
上記のような職種では、海外生活の経験や語学スキルが評価されやすいかもしれません。他にも、コミュニケーション能力や国際力をエピソードとともにアピールすることができるようになれば、活躍できる職種が広がるかも知れません。
メリット
帰国して就職活動をするメリットは、ワーキングホリデーで得たスキルを武器にして就職活動ができることです。グローバル化が進む昨今においては、海外での生活経験や、語学スキルは強みになりえます。
デメリット
そもそもワーキングホリデーが休暇を主な目的とする制度のため、企業によってはワーキングホリデーの期間を空白期間と捉えることもあります。そのためワーキングホリデーの経験自体よりも、そこで何を学んだかが重要になるといえるでしょう。
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ワーキングホリデー先の国で勤務先を見つける・現地採用
ワーキングホリデー先の国で現地企業に就職する、現地採用で働く方法です。
現地採用の場合、現地の人と就職を競うことになるため、ネイティブレベルの語学力が必要になります。また、新卒一斉採用の風潮や年功序列の価値観が残る日本とは異なり、海外企業では実力主義に基づく即戦力としての採用がほとんど。そのため、高い語学力に加えて専門的なスキルを有していることが望ましいといえます。
現地採用を目指してワーキングホリデーに行く場合には、ネイティブレベルの語学力と専門スキルの習得を目標に掲げて臨むのが良いでしょう。
現地採用で就職するには
現地採用では、現地の人向けの求人サービスや、海外求人を扱う日本人向けの求人サービスといった多方面から求人を探せます。
転職エージェントの活用
ビジネスマナーから文化まで異なる海外で就職活動をするには、現地事情に詳しい日本人転職エージェントの活用が効果的です。転職エージェントは、求人紹介だけでなく、企業との契約や交渉といった専門知識が必要な場面も幅広くサポートしています。グローバル化が進む昨今においては、現地採用の際に文化や制度の違いから、雇用主と労働者との間で軋轢が生じることもしばしば。転職エージェントの活用は、そういった雇用に掛かる契約上のトラブルの回避にも役立つといえるでしょう。
求人サイトの活用
現地採用では、現地の求人サイトや、日本の求人サイトなど、さまざまな種類の求人サイトを活用することができます。ただし、求人サイトごとで扱う求人の傾向や性質は異なるため、より多くの求人情報を確認したい場合には、特定のサイトだけではなく複数の求人サイトに並行して登録するのが有効です。
ワーキングホリデーの場合には、日本国内から現地企業に応募するのとは異なり、本人が現地にいます。そのため、事業所に足を運びやすい、直接対面式の面接がしやすい、といったメリットがあるといえるでしょう。
ワーキングホリデー中に仕事を得る
ワーキングホリデー中に働いていた現地企業に採用されれば、そのまま現地で働くことができます。ただし、ワーキングホリデー中の雇用主は、当然ながらワーキングホリデーの仕組みを知ったうえで、短期労働力として雇っている面があります。そのためワーキングホリデーの滞在期間が終わった後に、就労ビザの申請を請け負ってまで継続して雇ってもらうには、相当の評価を得る必要があるでしょう。
一方で、代えの効き難い専門スキルを使って働いている場合や、日本人にしかできない仕事を任されている場合には、ワーキングホリデー後にも継続して雇ってもらえる可能性が高まるかもしれません。後項では、現地採用で働きやすい仕事の例をご紹介しています。
現地採用で働きやすい職種
ワーキングホリデー先で、現地の人と就職を競うことになれば、特別なスキルを有することや「日本人であること」が強みになり得ます。以下に挙げるのは、日本人が現地就職で働きやすい仕事の例です。
- 日本語教師
- 日本食レストランスタッフ
- 日本食調理師(寿司屋など)
- ホテルマン(ホテリエ)
- ツアーコンダクターやツアーガイド
- コールセンター
他にも、日本において前職で営業や事務の経験がある人は、その実績を用いて営業職や事務職に就くこともできるようです。なお、ホテルマンとツアーガイドは、前項でも取り上げましたが、日本国内で海外客向けの仕事をするか、海外で日本客向けの仕事をするかという違いがあります。
メリット
ワーキングホリデー先で現地採用で働く場合には、現地の文化や言語を学びながら就職活動ができる点がメリットです。また、本人が現地にいるため、日本国内から海外求人を探すよりも、面接などで臨機応変な対応が取りやすいというメリットもあります。
デメリット
就職を現地の人と競うことになるので、ネイティブレベルの語学力は最低限必須になります。特別なスキルや日本人であることを活かせるような、代えの効かない仕事を探す必要があるため、就職の難易度は高いといえるでしょう。
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ワーキングホリデー中にやっておいたほうが良いこと
前述の通り、ワーキングホリデーは休暇を主な目的とする制度のため「ワーキングホリデーの経験がある」だけでは、就職に有利になり難いといえます。重要なのは「ワーキングホリデーで得たスキル」であり、引いていえば「ワーキングホリデーで何をやったか」です。そこで本項では、就職で評価されるために、ワーキングホリデー中にやるべきことをご紹介します。
語学力を高める
ワーキングホリデーで最も重要ともいえるのが、その国の言語を学ぶこと、つまり語学力を高めることです。就職活動の際にも、選考する企業側は、海外生活を通して語学を習得しているものだとして期待しています。そこで語学力が伴っていないと、企業側の期待に反するだけでなく、ワーキングホリデーの経験にも疑問を持たれてしまうかもしれません。また語学力をアピールしようとしても、「どのくらい話せるのか」と聞かれると曖昧な返事しかできないワーキングホリデー経験者も多いようです。
そのため、ワーキングホリデーで習得した語学力を就職活動でアピールするには、具体的に目で見える形にしておくことが必要だといえます。つまり語学検定の結果という形で証明するのが有効です。語学検定は、日本においては“TOEIC”や“TOEFL”、“中国語検定試験”などが広く知られています。語学検定は、「検定対象の言語」によって種類分けされているのはもちろんのこと、「検定結果が通用する国」と「検定結果を用いることができる場面」も検定ごとに異なっているのが特徴的です。たとえば、英語の語学検定である“TOEIC”は、世界共通のテストです、日本の就職活動では役立ちますが、アメリカの大学留学では基本的に通用しません。ワーキングホリデー先で習得した語学力を検定で測る際には、検定結果を、どの国でどのように活かすのかを考えて、よく調べた上で受験するのが良いでしょう。
他方で、1年~2年間程度のワーキングホリデーでは、高度な語学力を得るのは難しいと一般的にはいわれています。もし語学が十分に習得できないと感じたら、後項の専門性を高めることなど別のアプローチ方法でワーキングホリデーをキャリアとして活かす方法を考えるのが有効です。
専門性を高める
専門スキルを習得していれば、ワーキングホリデー後の就職を有利に運びやすくなるといえます。ワーキングホリデー中の1年~2年を自らのキャリアとして数えるためには、渡航先では生活費を稼ぐための単純作業をして働くのではなく、企業に積極的にアピールできるような専門的なスキルを習得するために働くのが良いでしょう。また、習得した専門スキルを、就職したい企業にどのように活かせるかを考えることも必要です。
ワーキングホリデー中の仕事は希望する仕事にする
希望する職種に関係する仕事をワーキングホリデー中からやっていれば、その経験を企業にアピールしやすいかもしれません。ワーキングホリデーの目的や経験、獲得したスキルの活かし方といった主要なアピールポイントに一貫性を持たせることができるからです。
一方で、ワーキングホリデー中の仕事が希望職種と異なる際には、就職に不利に働きかねません。ワーキングホリデー中に習得したことが伝わりにくいだけでなく、「一貫性がない」「スキルが伴っていない」といったマイナスの方向に評価されてしまう可能性もあります。もしワーキングホリデー中の仕事が希望する職種と異なる際には、希望職種の求める人物像を把握し、そこにワーキングホリデーで得た経験からアピールできる事柄を考えてみるのが良いのかもしれません。
なおワーキングホリデー中の仕事を、希望の職種に関係するものにすべきではありますが、現地では好きに仕事が選べるとは限りません。語学レベルによっては現地で就きにくい仕事もあります。たとえば語学力の浅いうちから現地の人相手に営業職として働こうとしても、実現しづらいことは想像に難くありません。そのためワーキングホリデー中の仕事は、どのように希望する職種に活かせるかを考えつつ、スキルに見合った仕事を探すのが良いといえるでしょう。
海外で就職したい方でも、「ビザ取得の難易度が高い」「語学力に不安がある」「日本人が働きやすい仕事が見つからない」といったお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。あるいは、海外生活に憧れて情報を仕入れてみるも、そのハードルの高さに断念せざるを得ない、といったケースもあるかもしれません。
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