このページのまとめ
- メキシコの主要産業は、製造業や鉱業、商業
- 製造業はメキシコ経済の中心的存在で、とくに自動車産業が盛んに行われている
- 1994年のNAFTA締結以降、メキシコの産業は輸出産業によって発展している
- 資源が豊富で低コスト、立地が良い、輸出先を多角化しやすいため国外企業の進出が増加
このコラムではメキシコの基礎情報や産業の特徴、日系企業の進出について解説しています。メキシコならではの産業について理解を深めましょう。メキシコは日系企業の進出が増加しているため、海外勤務希望者にとってチャンスの多い国です。メキシコの産業に興味がありましたら、メキシコで働くことを検討してみてはいかがでしょうか。
メキシコの基礎情報
メキシコ(メキシコ合衆国)はスペイン語を主な言語とする、北アメリカ南部に位置する国です。面積は約196万平方キロメートルと、日本の約5倍の面積を有しています。人口は約1億2619万人(2018)。年齢の中央値は約29歳と、比較的若い世代が多い国といえるでしょう。
太平洋とカリブ海に面しており、国の北側はやや乾燥した気候、南側は熱帯気候となっています。美しいビーチに恵まれ、マリンスポーツも盛んなため、観光客にも人気の国です。
参照元
外務省 – メキシコ基礎データ
経済産業省 – 医療国際展開カントリーレポート新興国等のヘルスケア市場環境に関する基本情報メキシコ編
中央情報局 – 北米:メキシコワールドブック
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メキシコの主要産業の特徴
メキシコの主要産業は、輸出向け自動車産業などを代表とした製造業や鋼鉄業、商業です。特に自動車産業はメキシコの経済において重要な役割を果たしています。
背景にあるのが各国との自由貿易協定です。1994年のNAFTA(北米自由貿易協定)締結以降、北アメリカ向けの自動車や工業製品の製造が盛んになりました。NAFTAとは、North American Free Trade Agreementの頭文字を取ったもので、メキシコ・アメリカ・カナダも3カ国間で結ばれた経済協定のことです。加えて、FTA(自由貿易協定)締結国は46ヵ国までに上り、中でもアメリカ、カナダへの輸出比率は約8割。FTAとは、2カ国以上の国や地域が結ぶ経済協定のことです。立地の良さを活かした輸出産業がメキシコの経済を支えているといえるでしょう。
製造業
メキシコの製造業は、輸出産業に支えられているのが特徴です。
代表的な自動車産業では、各国の多数の企業がメキシコに工場を設けています。メキシコの自動車産業では、部品製造を生業とする企業の進出も数多く見受けられ、さまざまなメーカーやブランドのニーズに対応できる部品の豊富さと自由度が魅力です。ほかにも、自由貿易協定により、国外から部品調達する際に、関税障壁が低いという利点もあります。
航空機産業も自動車産業同様、自由貿易協定による部品の調達や労働力の確保のしやすさから、アメリカを筆頭に諸外国がメキシコの航空機産業に投資を行っており、今後の発展が見込めるでしょう。ほかにも、金型産業なども成長が期待される産業といえます。自動車産業や航空機産業だけではなく、医療機器やその他の製品としての需要が見込める産業です。
鉱業
メキシコの鉱業は、銀や鉛、銅、亜鉛などの多金属が豊富に採掘できるのが特徴です。
1960年代に外資規制が強化された鉱業は、1989年に出資制限の緩和、1993年に外資法改正により鉱山開発における100%外資が認められるようになりました。
生産量も世界ランクの上位に位置しています。金属市場の下落により、一時期低下した鉱業投資額も回復傾向にあり、今後も鉱業国としての発展が期待できるでしょう。
商業
メキシコの観光業は美しい自然や歴史的建造物を目玉としているのが特徴です。
リゾート地や古代遺跡が多く、カンクン周辺の美しいビーチ、「チチェン・イッツァ」や「テオティワカン遺跡」などの古代遺跡には多くの観光客が訪れます。周辺のリゾートホテルやレストランで働く人も多く、経済循環に一役買っています。
また、世界中から多くの企業が集まるメキシコは、商戦の場としても良い国でしょう。
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メキシコ産業と日系企業の関わりとは
外務省の調査によると、メキシコに進出している企業は2017年時点で1182拠点あります。国別日系企業拠点数は11位と、上位に位置していることからもメキシコと日系企業の関わりは深いといえるでしょう。
製造業が盛んに行われているメキシコには、多くの日系企業が進出し、工場を設けています。代表的なのは自動車メーカーです。特にバビオ地区には自動車メーカーを始め、多くの日系企業が集まっています。バビオ地区の中でも、グアナフアト州は日系企業が多く、治安の良さもあり、日系企業で働く人々の居住区としても人気です。
参照元
外務省 – 平成30年度海外在留邦人数調査統計
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日系企業の進出が相次ぐメキシコ
メキシコにはさまざまな国の企業が拠点を構えています。日本も例に漏れず、自動車メーカー、サプライヤーを中心に数多くの企業が進出。製薬、医療、食品など業種も広がりを見せています。
では、なぜ多くの企業が海外拠点としてメキシコを選ぶのでしょうか。代表的な理由を下記に挙げました。
人的資源が豊富
人的資源が豊富なメキシコは、働き手となる若い世代の人口が多く、賃金の上昇率も比較的緩やかなため、人件費を抑えたい製造業では特に大きなメリットとなるでしょう。
立地が良い
経済大国アメリカと隣接しているため、高速道路や鉄道の発達により、流通コストを抑えることができます。立地の良さは多くの企業にとって魅力的といえるでしょう。
輸出先を多角化しやすい
メキシコはアメリカを中心に輸出先を多角化しやすい国です。自由貿易協定によって関税なしでカナダやアメリカに輸出できる点は自動車産業を中心に、メリットとして感じる企業は多いでしょう。
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日本人労働者が注目するメキシコ産業
メキシコは日系企業の進出が多い国です。製造業などの企業の進出が増えているものの、人材の確保が追いついていない状況が続いています。そのため、海外で製造業に携わりたいと考えている方も働きやすい環境といえるでしょう。また、企業に対して、売り手市場の傾向が強く「経験不問、語学力も日常会話ができればOK」という求人も中にはあるので、日系企業以外でも働く機会が豊富です。
初めて海外で就職や転職を挑戦する方にとっても、魅力的な国といえるでしょう。
メキシコで働くメリット・デメリット
メキシコで働きたいなら、条件の洗い出しと同時に「なぜ海外なのか」という点も明確にしておきましょう。仕事探しの軸をハッキリさせておくことで、求人が絞り込みやすくなりますし、ミスマッチの可能性を低くすることができます。メキシコで働くメリット・デメリットをいくつか上げてみましたので参考にしてください。
メキシコで働くメリットには以下のようなものがあります。
- 語学力が活かせる
- 語学力をレベルアップできる
- 国の文化や価値観が学べる
- キャリア形成に役立つ
メキシコでは語学力のレベルに応じてさまざまな求人があるため、豊富な選択肢から仕事を選ぶことができます。語学力が活かせると同時にレベルアップできるのは海外勤務の大きなメリットと言えるでしょう。
日本にはない文化や価値観を学ぶことができるのも、海外で働く魅力の1つ。今までにない経験や学びを得ることができるため、視野も広がりやすいでしょう。また、後のキャリア形成にも海外経験は良い影響を与えてくれます。
日本、または違う国で新しくキャリアをスタートさせたいと思った際に、海外での勤務経験は評価される可能性が高く、グローバル展開が顕著な業界を志望するのであれば、海外で働いた経験は有利になるでしょう。
デメリットには以下のようなものがあります。
- 保険や年金が充実していない
- 治安があまり良くない地域もある
- 日本に帰ってくる場合、キャリア面で不利になる可能性もある
海外の保険制度によっては、自己負担割合が高いことも。メキシコの国民健康保険IMSSに加入している場合は、公立病院で無料で診察を受けることができます。しかし、公立病院には患者が殺到するため、機材や医薬品の不足が問題となり、多くの日本人は私立病院を利用しているようです。
また、日本に戻ってくることを考えている人は年金の払い方に注意しなければなりません。移住し、現地の企業や外資系企業に就職した場合、国民年金の義務加入から外れるので、任意加入をする必要があります。
観光地として有名な地域は、治安の良い地域です。しかし、広大な国土の中には治安の悪い地域もあるので、移住先の治安情報は前もって確認しておきましょう。
退職して帰国すると、海外で築いたキャリアを失い、無職になってしまうので注意が必要です。海外で長期間暮らし、年齢が上がっていると就活で不利になってしまう可能性もあるでしょう。
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