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このページのまとめ

・日本語学習者は世界に約385万人と大勢いる
・国や地域によって状況は異なるが、概ね日本語教師の需要は高い
・海外で日本語教師になるのに決まった必須の資格はない
・ただ、「国内で日本語教師になる」のと同等の条件が定められていることが多い


「海外で働きたい」と考えている方のなかには、日本語教師という仕事に興味を持っている人もいるでしょう。日本語を活かして働ける日本語教師は、海外就労に適した仕事の1つです。このコラムでは海外で日本語教師になるにあたっての必要な条件や、仕事内容、地域別の日本語教師の需要などについて解説します。

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海外の日本語教育の現況

世界には日本語を学んでいる外国人がたくさんいます。国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によれば、日本語教育は142の国と地域で行われており、およそ385万人の学習者がいるとのこと(2018)。また、調査対象でない独習者を含めると、学習者数はさらに増えるとされています。

学習者が多ければ、そのぶん教師も必要です。同調査では、およそ1万9千の教育機関があり、約7万7千人の日本語教師がいることが公表されています。さまざまな国・地域で、多くの日本語教師が活躍しています。

参照元
国際交流基金「2018年度 海外日本語教育機関調査

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海外で日本語教師になるための条件

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海外からみれば、「日本語が話せる」というのは特殊なスキルです。それを活かせる仕事であれば、世界に通用するような専門スキルがなくとも海外就労を実現することは可能ですし、日本語教師もそうした仕事の1つと考えている方も多いことでしょう。

とはいえ、教育者になるには、教育能力を保証するため、一定の資格や経験を求められるはずです。本項では、海外で日本語教師になるにはどんな条件が求められるのかを解説します。

海外で日本語教師になるのに必須の資格は定められていない

海外で日本語教師になるのに必須の資格というものは定められていません。そのため、アルバイトや個人レッスンなどなら無資格でも働ける職場があります。

ただ、大学等の教育機関や語学学校をはじめとする多くの職場はその限りではありません。たいていは教育能力を証明するための条件が設けられています。それは「国内で日本語教師になるための条件」、いわゆる日本語教師の資格です。

就職先は海外でも、たいてい「国内で日本語教師になる」のと同じ条件が求められる

国内で日本語教師になるには、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。

・大学または大学院で日本語教育を主専攻または副専攻し修了している
・日本語教師養成講座420時間を修了している(学士以上の学位が必要)
・日本語教育能力試験に合格している

日本語教師には、教員免許のような国家資格は存在しないため(2022年1月時点)、「日本語教師の資格」と言うときは、上記の条件を指す場合がほとんどです。

海外で日本語教師として働く場合にも、たいていの職場で上記と同じ「日本語教師の資格」が必要となります。また、応募要件に記載がなくとも、同条件を満たしている人のほうが、採用されやすいでしょう。

大学または大学院で日本語教育を主専攻または副専攻し修了する

日本語教育科目において、大学の主専攻の場合45単位、副専攻の場合26単位を取得する必要があります。大学院の場合は、大学の専攻によってコースが変わり、24単位ないし28単位の取得が必要となります。

日本語教師養成講座420時間を修了している

学士を取得(大学を卒業)したうえで、文化庁国語課に届出が受理された一般の日本語教員養成機関で、およそ420時間の講座を受ける必要があります。

この「420時間」という数字は、前項の大学・副専攻における26単位を、1単位15時間、実習45時間として算出したものです。そのため、この「420時間」は厳格な基準ではなく、あくまで目安であり、実際の受講時間は前後する可能性があります。

つまり「日本語教師養成講座420時間の修了」とは、国に認められた養成機関で、大学・副専攻と同程度の教育を受けましょう、ということです。

養成講座の受講費は50~60万円程度で、また一部オンラインで研修を行っている養成校もあります。受講を検討する場合はよく確認しておきましょう。

日本語教育能力試験に合格している

日本語教育能力試験に合格することで、日本語教師になるための条件が満たせます。

日本語教育能力試験は、公益財団法人日本国際教育支援協会の主催で年に1回行われます。受験する人は、日本語教師を目指す人を中心に、スキルアップしたい人や、教育期間に所属している人など。主婦やセカンドライフに入る人等が受験することもあり、受験者の年齢層は高めです。合格率はおよそ30%弱で、出題範囲も広いことから、一般に難易度の高い試験と言われています。数ヶ月前からしっかり試験対策をする必要があるでしょう。

なお、前項の条件とは異なり、こちらは高卒の学歴でも日本語教師を目指すことが可能です。ただし、国内就職は可能になるものの、海外就職の場合、高卒の学歴だと就労ビザの取得が難しい可能性が高いといえます。

参照元
文化庁「日本語教育のための教員養成について

年齢や経験、学歴などが応募条件になっていることも

海外における日本語教師の募集要項には、いわゆる「日本語教師の資格」以外にもさまざまな条件が設けられています。

年齢

日本では一般に「海外は実力主義で年齢に関係なく活躍できる」と言われることもありますが、「◯歳未満」など年齢要件を設けている求人は少なからず見られます。また、「周りの教員と合わせるため◯歳~◯歳」といったような条件を設けていることもあるので、よく確認しましょう。

日本語教師としての経験

日本語教育には、知識はもちろん、指導力も求められます。そのため、実務経験を必要とする求人も少なくありません。「国内外での日本語教育◯年以上」といったように、国内での経験も加味される場合があるので、国内で経験を積んだ人なら応募できる求人も増えるでしょう。

学歴

就労ビザの取得手続きを勤務先に委託できる場合もあり、そうした都合も含めて「4年制大学卒業」など学歴を指定する求人も数多くあります。

現地駐在員の配偶者であったり、国際結婚をしていたりして、すでに就労可能なビザを持っている場合を除き、基本的に海外就職には就労ビザが必須です。国によって就労ビザ取得のハードルは異なりますが、ビザの支給にあたっては自国の雇用確保のため、多くの国がまず学歴をチェックします。求められる学歴は基本的に大卒資格。短大卒や高卒の場合、職歴や技能などが追加で求められる可能性もあります。

現地語のスキル

現地で生活・就労するには現地語が話せるに越したことはありません。ただ、職場によって求める語学レベルは異なり、上級レベルが必要な求人から、語学力不問の求人までさまざまなものがあります。自分の語学レベルにあった求人を探すと良いでしょう。

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海外で働く日本語教師の仕事内容

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日本語教師の主な仕事は、外国人に日本語を教えることです。学習の目的や習熟度は人によって違うため、個別に計画を立てて教育を行います。
業務のイメージは小・中学校の国語の授業に近いですが、海外の人に対し「外国語」として日本語の文法や発音を分かりやすく伝えなければならないので、国内の学校で受ける授業とは違った難しさもあります。

特に日本語は世界でもトップクラスに難しい言語とも言われています。たとえ日本人でも、正しい文法や助詞・助動詞の使い方、漢字の音読み訓読みなどについてきちんと言語化して説明できる方は多くはないはずです。それだけに、日本語教師には専門知識や指導の技術が求められます。

日本語教師の業務には、教材の準備やテストの採点など、授業以外の業務も含まれることがあります。さらに、職場によっては日本文化を伝える文化活動を行うこともあるでしょう。業務内容は基本的に募集要項に載っていますが、それ以外の業務を任される可能性もあります。応募時には業務内容についてしっかり確認しておきましょう。特に就労ビザを取得して入国する場合、申請した業務以外は行えないので、なおさらきちんと確認する必要があります。

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日本語教師として働ける海外の職場

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海外で日本語教師として働ける職場には以下のようなものがあります。

現地の日本語学校や大学の教師

日本語教師として働ける最もメジャーな職場は、現地の日本語学校や大学などの高等教育機関です。常勤・非常勤の教師、日本語研究に携わる助手などの求人があります。

海外の新学期は多くの国で9月です。そのため5~6月ごろに求人が増える傾向があります。国内の求人ほど充実した募集があるわけではないので、希望の条件に合った求人がないかこまめに確認しておきましょう。ときには有名大学の求人がでていることもあります。

小・中学校の教師

将来的に日本で働くという教育ビジョンがある東南アジア等の地域では、小・中学生から日本語教育を行っている場合があります。

日本語教室の講師・日本語トレーナー

個人で日本語教室を開講する、もしくはパーソナルトレーナーとして働く方法もあります。主に現地の社会人を相手にする働き方です。

ボランティア

ボランティア団体の派遣スタッフとして海外に行くのも手です。1週間~1ヶ月程度の渡航で、海外生活や日本語教師としての働き方を体験できます。ボランティアであっても、基本的に日本語教育の知識や技能、経験を求められるので、条件をよく確認しましょう。

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海外における日本語教師の需要

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日本語教師が不足している地域もあれば、供給過多になりがちな地域もあります。海外の日本語教師の需要について地域ごとに確認してみましょう。

欧米

ヨーロッパやアメリカには永住している日本人が大勢おり、大学等の日本語教師の求人は、競争率が非常に高くなっています。また、現地の教員資格が必要になる場合もあります。
そのため、欧米では日本語教室を開いたり、トレーナーとして働く選択肢の方がメジャー化しています。

東アジア

東アジアは日本語学習が特に盛んに行われている地域です。たとえば、教育機関数では、韓国が1位、中国が3位、台湾が6位にランクインしています。大学や大学院の求人が多めです。

東南アジア

東南アジア地域は東アジアに次いで、日本語学習が盛んです。たとえば、インドネシアは学習機関数および学習者数で世界2位にランクインしています。
また、インドネシアやフィリピン、ベトナムは、経済連携協定(EPA)に基づき、看護師・介護福祉士候補者の受け入れを行っていることもあり、日本語学習がより活発化しています。なかでもベトナムは小学校の外国語教育に日本語を取り入れています。

参照元
国際交流基金「2018年度 海外日本語教育機関調査

オーストラリア

オーストラリアの日本語教育機関数・学習者数は世界第4位です。
小・中・高等学校では日本語を第一外国語として履修できるので、若年層の学習者が多めですが、学校で正式に働くには現地の教員免許が必要なため、募集は非常勤が大半。そのうえ、永住ビザやワーキングホリデービザなど、すでに就労可能なビザを持っている人に対しての求人が中心です。
アジア圏ほど多くはないものの、民間の語学学校の募集もあるので、興味のある方はチェックしてみましょう。

メキシコ

中米で最も日本語学習が盛んな国はメキシコです。中米地域の約8割の学習者がメキシコにいます。
メキシコは日系企業の進出が相次ぐ地域。学校教育以外で日本語を学ぼうとする学習者が多く、教師の需要の増大に対し、供給が追いついていない状態です。そのため、求められる語学力や経験のハードルが低めであり、就労ビザも取得しやすいことから、特に専門スキルや特殊な経験が無い方が海外就労するのにおすすめの地域といえます。

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