メキシコの物流事情とは?主な輸送手段や課題・リスク対策を解説
更新日:2026年9月9日

目次
このページのまとめ
- メキシコで最も利用されている輸送手段はトラック輸送
- 北米輸出の大半をトラック輸送が担っている
- 物流トラックが襲撃される事件が多発しているため、安全・セキュリティ対策が必須
- 日本からの輸入には、メキシコ西岸のマンサニージョ港・ラサロ・カルデナス港が利用される
- メキシコでは、日系企業が自社通関をすることは基本的にできないため、通関手続きは通関業者に依頼する必要がある
メキシコの物流事情について知りたい方に向け、メキシコの主な輸送手段や課題・リスク対策を解説します。このコラムで、メキシコの物流事情を確認しておきましょう。
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メキシコの物流は、自動車産業を中心とした北米サプライチェーンの要です。近年のニアショアリングの加速によって重要性が高まる一方、メキシコ特有の通関制度や治安リスクなどの課題を抱えています。
ここでは、メキシコの主な輸送手段と、それぞれの輸送手段に関する特徴について解説します。
トラック輸送
メキシコの物流において、最も利用されている輸送手段は、トラックによる陸上輸送です。メキシコからの輸出は80%以上がアメリカ向けであり、その大半をトラック輸送が担っています。主要都市や物流拠点の間では高速道路が整備されており、道路舗装も良好なので、トラック走行がしやすい環境です。
トラック輸送が活発な国境ゲートは、米国テキサス州ラレド、テキサス州エルパソなどがあげられます。なお、メキシコのトラックは、法律上の理由から、アメリカ国内を長距離走ることができません。そのため、国境ではトラクターヘッドの切り替えによるドレージ輸送が行われています。実務上では、3台体制(メキシコ国内トラック・国境専用トラック・アメリカ国内トラック)で輸送する方法が一般的です。
トラック輸送のメリットは、柔軟性が高い点です。ドア・ツー・ドア輸送で、荷物を目的地まで直接運搬することができます。また、小回りが効くので、スケジュールを柔軟に調整することも可能です。中距離であれば、ほかの輸送手段に比べリードタイムを短縮することもできます。
一方、トラック輸送のデメリットは、混雑や遅延のリスクが高い点です。メキシコの国境地帯や主要都市周辺では、慢性的な渋滞が発生しており、物流遅延を起こしています。また、暴動や道路封鎖、検問、悪天候によって突発的な遅延が生じる可能性もあり、物流のリスクとなっています。
メキシコのトラック輸送は、治安面のリスクも深刻です。トラックの乗っ取りや襲撃が多発しており、セキュリティ対策が必須とされています。
日系企業においては、GPSで走行位置を監視する、リードタイムにゆとりを設けるといった対策が必要です。また、トラック輸送と通関手続きをセットにしたサービスを提供する物流企業を利用することで、複雑な通関手続きにおけるトラブルを回避する方法も一般的です。
海上輸送
メキシコでトラックに次いで重要な輸送手段は、船による海上輸送です。海上輸送は、アメリカだけでなく、アジアやヨーロッパ、南米など、世界各国との取引に利用されます。大量の貨物を低コストで運搬可能なので、主に大型貨物の貿易に用いられる輸送手段です。
西岸はアジアやアメリカ西岸、東岸はヨーロッパや南米、アメリカ東岸との貿易に利用されます。取引量の7割以上を西岸が占めており、日系企業が利用するのも西岸の港です。
日系企業が利用する主な港は、マンサニージョ港(Manzanillo)とラサロ・カルデナス港(Lázaro Cárdenas)の2つ。マンサニージョ港から東京湾への輸送リードタイムは、2週間が目安です。なお、メキシコの主要港は慢性的に容量オーバーの状態にあるため、混雑による物流遅延が多発しています。
輸出入に関しては、メキシコの独特な通関ルールに注意する必要があります。メキシコの通関手続きは、政府公認の通関業者が行わなければならず、自社通関は事実上不可能です。そのため、現地の通関業者を手配する必要があります。
鉄道輸送
大量の貨物を北米へ長距離輸送する場合は、鉄道輸送が広く利用されています。メキシコの鉄道網は、旅客輸送が限定的である一方、貨物輸送は非常に盛んです。北米市場に直結する路線があり、コンテナ列車が発達しています。
貨物列車の運行会社は、フェロメックス、カナディアン・パシフィック・カンザスシティ鉄道の2つが主流です。
鉄道輸送は、コンテナによる大量輸送ができるメリットがあります。コンテナを2段積みしたダブルスタックトレインが走っており、一回で大量の貨物を運搬することが可能です。中長距離を輸送する場合、運賃はトラックよりも安価。幹線道路での襲撃を避けることができるため、安全性も高いとされています。
一方、鉄道輸送は、トラックほど柔軟な輸送ができない点がデメリットです。工場から直接出荷することができないため、工場から鉄道までトラックで運搬するなど、ほかの輸送方法を組み合わせる必要があり、その分手間がかかります。
航空輸送
メキシコの物流における航空輸送は、主流ではないものの、限定的なニーズを満たす手段として重宝されています。
航空輸送は、電子部品など、軽量で価値が高い荷物を輸送するのに最適です。素早く安全に輸送できるため、精密機器の輸送に用いられています。一方、輸送コストは非常に高く、また、一度に大量の貨物を輸送できないというデメリットがあります。
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ここでは、メキシコ特有の通関・物流事情について解説します。
自社通関ができない
日本の会社がメキシコの通関ライセンスを取得し、自社通関を行うというのは事実上不可能です。メキシコの通関士(Agente Aduanal)は免許制ですが、実態としては世襲制が慣習化しています。また、通関士の資格を取得できるのは生来のメキシコ人のみで、外国人は取得できません。
自社通関ができないため、輸出入をする際は、通関士や通関業者を介す必要があります。トラブルを避けるためにも、信頼できる業者を選定することが重要です。
なお、自社通関を行う方法として、法的代表者を登録する手段もあります。ただし、手続きが煩雑になるので、現地の通関士を手配するのが一般的です。
通関前に「プレビオ」が実施される
メキシコでは、輸入手続きの前に「プレビオ」と呼ばれる通関業者の自主的な貨物検査が行われます。プレビオは、申告内容と実際の貨物が一致しているかどうか、コンテナを開けて中身を確認する検査です。
メキシコでは、申告内容と貨物の不一致に対して、荷主だけでなく通関業者にも非常に厳しいペナルティが課されます。そのため、自己防衛の手段として、通関業者による自主的な検査が実施されます。
日系企業にとって、プレビオは大きなリスクです。開梱検査によって、貨物にダメージが生じたり、タイムロスに繋がったりするリスクがあります。プレビオを回避するルートもありますが、一般的な通関プロセスではプレビオは実施されます。
トラック輸送の治安リスクが高い
メキシコでは、物流トラックが襲撃される事件が多発しており、物流における大きな課題となっています。GPSによる追跡、セキュリティ車両の手配、運行ルートの制限といった防犯対策が必要になり、その費用が物流コストに上乗せされます。
混雑・遅延が頻発する
メキシコの物流は、貨物量の急増にインフラが追いついていないので、混雑や遅延が頻繁に発生します。
たとえば、日系企業が利用するマンサニージョ港は非常に混雑しており、数日~数週間の遅れが生じることも珍しくありません。また、トラック輸送も、国境検問所や主要都市での渋滞によって、2~4日程度の遅延が生じるリスクがあります。
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メキシコの物流には、治安リスクや混雑による遅延、通関リスクなどの課題があります。こういった課題に対し、メキシコ進出中の日系企業は、以下のような対応策を取っています。
安全・セキュリティ対策
- トラックの運行管理を徹底し、安全なルートを指定する
- 信頼できる運送業者を選定する
- 有料高速道路を使用する
- GPS追跡、護衛車両などセキュリティサービスを導入する
混雑・遅延対策
- リードタイムにバッファを設定する
- 代替ルートを検討する
- 鉄道輸送への切り替えを検討する
通関リスク対策
- 実績のある通関業者を選定する
- プレビオを前提として梱包を工夫する
- データ連携を自動化する
- 最新の法改正トレンドを常にアップデートする
メキシコにおける物流リスクへの対策として、日系の物流業者を利用する方法があります。日系の物流業者であれば、日本語サポートが受けられるだけでなく、日本基準の管理体制を組み込むことが可能です。
物流業者ごとに得意なルートやサポート内容は異なるため、業者ごとの強みを把握して依頼しましょう。セキュリティ優遇の認証を取得しているかなども、チェックポイントとなります。
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