メキシコの社会保険「INFONAVIT」とは?制度の内容について解説

目次
このページのまとめ
- INFONAVITとは、メキシコの社会保険の一つで、住宅を購入する際に低金利のローンが利用できるという制度
- 労働者の給与の5%にあたる額を企業が積み立てる
- 企業が全額を納付するため、労働者側の負担はない
- 住宅を購入、建設、改築する際に、低金利の住宅ローンを利用することができる
- メキシコに赴任する日本人駐在員もINFONAVITの対象となる
メキシコの社会保険の一つであるINFONAVITについて知りたい方に向け、制度の内容を詳しく解説します。このコラムで、INFONAVITがどのような制度なのか確認しておきましょう。
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INFONAVITとは、メキシコの社会保険の一つで、労働者が住宅を購入する際に低金利のローンが利用できるという積立制度です。
労働者住宅基金機構(INFONAVIT)が運営・管理する制度で、「INFONAVIT」は政府機関、およびその制度名を指します。
INFONAVITの対象となる人
INFONAVITの対象となるのは、メキシコの民間企業に雇用されるすべての正規雇用者です。数年で日本に帰国する駐在員も、現地で正社員として雇用契約を結んでいる限りは対象となります。
INFONAVITの積み立て
INFONAVITの積み立ては企業が行い、企業が全額を負担します。労働者側の負担はなく、給与の天引きなどによって給料が減ることもありません。企業は、労働者の給与の5%にあたる額を積み立てます。納付は2か月ごとで、奇数月の17日までに納付します。
INFONAVITの積立金は、専用口座の住宅サブアカウント(Subcuenta de Vivienda)に積み立てられ、INFONAVITがこれを管理します。なお、残高の明細は年金資産管理機関(AFORE)から通知されますが、積立金を管理するのはINFONAVITです。
INFONAVITの活用
住宅の購入・建設・改築をする際、INFONAVITから低金利の住宅ローンを利用することができます。積立金は、実際に住宅ローンを利用する際の頭金になります。また、既存の住宅ローンを銀行からINFONAVITに移管することもできます。
なお、INFONAVITの住宅ローンを利用した場合、給料から返済額が差し引かれ、企業によって納付されます。
日本人駐在員におけるINFONAVITの扱い
メキシコに赴任する駐在員は、基本的にINFONAVITの恩恵を得られる機会はありません。しかし、必要がなくてもINFONAVITの加入は義務なので、企業側は積立金を納付しなければなりません。
駐在員が日本に帰国する際、INFONAVITおよび退職年金(AFORE)の積立金は一括で引き出せる可能性があります。ただし、実際に回収できている駐在員はごくわずかです。そもそもINFONAVITの制度についてあまり知られておらず、また回収には専門的な知識や手続きを要するため、積立金は放置されることが多いです。とはいえ、AFOREとINFONAVITの積立金は、給与水準によっては数百万円になることもあるので、回収するメリットは大きいといえます。
INFONAVITの目的
メキシコの憲法には「すべての企業は労働者に対し快適で衛生的な住宅を提供する義務がある」と定められています。この義務を実現するため、1972年にINFONAVITが設立されました。
当時は、住宅不足や住宅価格の高騰、不法占拠、住宅ローンのハードルの高さといった、深刻な住宅問題が発生していました。この問題は、個人や企業では対応しきれない規模だったため、国による社会サービスの一つとしてINFONAVITが整備されました。
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ここでは、INFONAVIT以外のメキシコの法定福利厚生について解説します。法定福利厚生なので、いずれも企業への導入が義務付けられています。
社会医療保険(IMSS)
IMSS(社会保険庁)が提供する健康保険です。IMSSが運営する公共の病院であれば、無料で診察を受けられます。ただし、公立病院は混んでいることが多いので、駐在員は民間の医療保険を契約して私立病院を利用することが多いです。保険料の大部分は企業が負担します。
IMSSは、医療保険、労災保険、障害給付、老齢年金など、幅広い分野を包括的にカバーしています。
有給休暇
メキシコの有給休暇は、1年目で12日です。5年目までは毎年2日ずつ追加され、6年目以降は5年ごとに2日ずつ追加されます。有給休暇を取得すると、通常の給与に上乗せして25%の休暇手当が支給されます。
休暇手当(Prima Vacacional)
休暇手当は、最低でも日給の25%が支払われます。手当の割合は企業によって異なりますが、基本的には25%の企業が多いです。
クリスマスボーナス(Aguinaldo)
毎年12月20日までに支給される年末ボーナスです。最低でも給与の15日分にあたる額が支給されます。なお、中途入社の場合は、比例分が支給されます。ボーナスの設定は企業によって異なり、特にインセンティブが発生しにくい企業では、15日分以上のボーナスを支給する企業もあります。
労働者利益分配制度(PTU)
益の10%を従業員に分配する制度です。5月末までに支給され、給与の3か月分が上限となります。中途入社の場合は、比例分が支給されます。
退職年金(SAR)
退職年金の積立制度です。企業は、労働者の月収の2%に相当する額を専用口座に積み立てます。この口座は、AFOREと呼ばれる民間の金融機関が管理し、積立額は年金の運用実績によって変動します。加入期間の条件を満たせば、60歳以降に退職年金を受け取ることができます。
労働者金融基金制度(INFONACOT)
従業員向けの低金利の融資制度です。生活物資やサービスを購入する際に利用できます。返済は給料から天引きする形で、企業が代理返済を行います。なお、INFONACOTに積立制度はないため、積立金を充当することはできません。
休日出勤手当
週の休日や法定休日に出勤した場合は、通常賃金に加えその2倍の手当が支払われます。また、日曜日に出勤した場合は、25%の割増賃金が支払われます。
残業手当
メキシコの残業時間は、1日3時間×週3日(週9時間)が上限です。週9時間までの残業には2倍、9時間を超える分の残業については3倍の割増賃金が支払われます。
◆関連記事 メキシコの残業時間はどれくらい?法定労働時間と残業規制について解説
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