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メキシコでの法人設立の基礎知識・法人設立の具体的な手順について解説

    公開日:2024年4月23日

    更新日:2025年3月18日

    書類を確認するビジネスマンのイメージ

    このページのまとめ

    • メキシコで法人設立する際の会社形態は「株式会社(S.A.)」が一般的
    • 日本の株式会社と類似していることから、仕組みやルールが理解しやすい
    • メキシコでは、会社の設立は契約行為であり、公正証書にする必要がある
    • 会社設立公正証書の署名によって会社は成立する
    • ただし、第三者に対して効力を持たせるには商業登記が必要

    メキシコ進出を検討している事業者さまに向け、メキシコでの法人設立の手順について具体的に紹介します。コラムを読んで、メキシコでの法人設立の基礎知識について押さえておきましょう。

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    メキシコで法人設立する際の会社形態

    会社から外を眺める人々のイメージ

    メキシコで法人を設立する際の会社形態は「現地法人」と「支店・駐在員事務所」の2つに分けられます。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

    1.現地法人

    メキシコ現地法人の形態には、以下の7種類があります。

    • 株式会社(Sociedad Anónima:S.A.)
    • 合同会社(Sociedad de Responsabilidad Limitada:S. de R.L.)
    • 合名会社(Sociedad en Nombre Colectivo)
    • 合資会社(Sociedad en Comandita Simple)
    • 株式合資会社(Sociedad en Comandita por Acciones)
    • 協同組合(Sociedad Cooperativa)
    • 簡易式株式会社(Sociedad por Acciones Simplificada)

    このうち、日本の会社形態に似ていることから、メキシコ進出の際は株式会社(S.A.)と合同会社(S. de R.L.)が選択されることが多いです。

    「株式会社(S.A.)」が最も一般的な進出形態

    メキシコの会社形態のなかでも、最も一般的な進出形態は「株式会社(S.A.:Sociedad Anónima )」です。

    メキシコに進出する日本企業は株式会社であることが多いため、メキシコの会社形態も馴染みのある株式会社(S.A.)が選ばれる傾向にあります。

    なお、メキシコでは、定款を変更することなく資本金を増減できる「可変資本制度」が認められています。この制度が利用されることが多いため「可変資本株式会社(S.A. de C.V.:Sociedad Anonima de Capital Variable)」が採用されるのが一般的となっています。

    「合同会社(S. de R.L.)」が採用されることもある

    株式会社の次に多い進出形態は、「合同会社(S. de R.L.)」です。 アメリカからの進出では、アメリカ側で税務上の恩典が利用できるため、合同会社(S. de R.L.)が採用されることもあります。合同会社(S. de R.L.)はアメリカのLLC(Limited Liability Company)に相当する形態です。

    ただし、日本の株式会社とは異なる仕組みやルールが多いため、合同会社(S. de R.L.)を採用することで不便が生じる可能性もあります。

    【「S.A.」と「S. de R.L.」の主な比較】

    株式会社(S.A.)有限責任会社(S. de R.L.)
    資本金1ペソから可能だが、商習慣として従前の定めによる50,000ペソが存続している1ペソから可能だが、商習慣として従前の定めによる3,000ペソが存続している
    株主(出資社員)数株主は最低2名必要で、国籍問わず個人・法人ともに可能出資社員は2名以上50名以下で、国籍問わず個人・法人ともに可能
    最高意思決定機関株主総会社員総会
    経営意思決定機関取締役会または唯一代表取締役
    (出資の有無及び国籍不問)
    取締役会または唯一代表取締役
    (出資の有無及び国籍不問)
    監査役1名以上で設置が必要
    (出資の有無及び国籍は不問だが、当該会社またはその関係会社の従業員は不可であり、また、役員との姻戚関係での制限あり)
    任意で設置可能
    (出資の有無及び国籍不問)
    その他株式会社であっても、上場等していない限り、財務諸表の開示義務はない米国親会社を持つ場合、米国での連結納税において、メキシコ子会社の損失を米国での課税所得圧縮に活用できる可能性がある

    引用元:JBIC 国際協力銀行「メキシコの投資環境 第8章 投資形態

    2.支店・駐在員事務所

    メキシコ国外に本社があり、メキシコに店舗を開設する場合は「支店」という形態を採用します。商行為を行う場合は支店で、それ以外は駐在員事務所と呼ばれることが多いです。

    「現地法人」は、独立した法人格を有し、概ね内国民待遇となります。一方、支店・駐在員事務所の法人格は外国会社自身となるので、相対的に不利になってしまいます。そのため、メキシコ進出の際は支店・駐在員事務所よりも現地法人のほうが好まれる傾向にあります。

    参照元 ジェトロ(日本貿易振興機構)「メキシコにおける会社設立と清算の基本(2022年3月)

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    メキシコで現地法人を設立する手順

    スタートからゴールをイメージした積み木の画像

    ここではメキシコで株式会社を設立する場合の手続きと手順について解説します。

    なお、メキシコでは、会社の設立は契約行為の一種であり、公正証書にする必要があります。

    1.社名使用許可の取得

    社名を使用するには、経済省から許可を受ける必要があります。社名の候補を3つ用意し、優先度をつけたうえで申請しましょう。申請書には、所在地や資本金、事業内容なども記入します。

    社名を申請する際は、同一または類似の社名・商標が既に使われていないか、事前に調べましょう。問題がない場合は3週間程度で許可がでます。

    2.委任状の作成

    委任状は、「会社設立公正証書」の署名をメキシコの弁護士などに任せるための書類です。「代表権授権公正証書」や「P/A証書」ともいいます。

    会社を設立するのが外国法人の場合、またはメキシコ国籍を持たない自然人で就労許可付き在留許可証を有しない場合、会社設立公正証書の署名ができません。そのため委任状が必要となります。

    日本の会社の場合、駐日メキシコ大使館に作成を依頼するのが一般的です。

    3.定款・創立総会決議事項の準備

    定款(Estatutos Sociales)のドラフトおよび創立総会決議事項(Acuerdos de la Asamblea Constitutiva)を決定し、委任状・社名許可の成果物と併せて公証人に提出します。

    定款で扱う事項および創立総会決議事項は以下の通りです。

    【定款の事項】

    • 社名と会社形態
    • 事業目的
    • 存続期間
    • 本店所在地
    • 国籍およびカルボ条項
    • 資本金額、出資方法、増減資の方法、株式・株券の扱い、その登録のルールなど
    • 株主総会関連事項(成立要件、議決要件など)
    • 会社の経営形態と経営機関(役員構成、選任方法、任期、権限など)
    • 監督機関
    • 会計年度、決算報告、損益処分、法定準備金
    • 解散・清算に関する事項

    【創立総会決議事項】

    • 設立当事者(発起人)の名称または氏名、その代表者または代理人の氏名
    • 会社設立当初の資本金額、その構成、各株主の引受け・払込み状況
    • 第一会計年度
    • 経営機関の構成員としての取締役の任命
    • (社内)監査役の任命
    • 執行機関(社長以下のオフィサー)の任命ならびに代表権授権

    4.会社設立公正証書の署名(商法上の会社設立)

    上記の書類を受け取った公証人は、会社設立の合法性や当事者の資格などを審査します。

    問題なければ「会社設立公正証書(Escritura Constitutiva)」原本を作成し、当事者に署名させます。その後、公証人が署名することで会社設立契約(Contrato Social)の締結が行われたこととなり、会社設立となります。

    公正証書の原本は公証人が保管し、会社には謄本(Testimonio)が証拠として発給される決まりです。

    なお、以降の手続きはすべて新会社名で行い、またしかるべき権限をもつ代表者を通して行わなければなりません。税務申告の義務も会社設立の時点から発生します。

    5.連邦納税者登録(RFC)の取得

    連邦納税者登録(RFC:Registro Federal de Contribuyentes)は、本来、税籍登録でしかありませんが、RFC番号は会社の背番号としての役割をもちます。

    RFC番号がなければ、行政手続きや銀行口座の開設、正規のインボイスの発行などができません。また、登録時に指定する住所は、国税庁(SAT)やメキシコ政府、第三者に対して正規住所として使用されます。

    「会社設立公正証書の謄本」と「RFC登録証」は、会社の設立を証明する重要書類となります。

    6.商業登記

    会社設立は「会社設立公正証書の署名」によって成立していますが、それを第三者に対して効力を持たせるには商業登記が必要です。

    商業登記は、会社の本店所在地に該当する登記所で手続きします。手続きには会社設立公正証書の謄本が必要です。手続き後には、会社設立公正証書の謄本に登記証明を付したものが返却されます。

    手続きの所要時間は地域によってばらつきがあり、デジタル化によって申請日の当日に完了することもあるようですが、長くて数か月から1年以上かかる場合もあるようです。

    7.外国投資登録

    外資の参入をする会社は、外資の参入日・会社設立日から40営業日以内に外資登録をする必要があります。登録は経済省外国投資局が管轄します。

    8.各種帳簿の手配、株券発行

    会社は会社組織に関する以下の書類を備えておかなければなりません。

    • 株主総会議事録簿
    • 取締役会会合議事録簿
    • 株式登録簿
    • 資本金増減登録簿(可変資本会社の場合)

    また、株式会社は、法定要件を満たす株券を発行する必要があります。株券は記名式にしなければなりません。

    9.その他の手続き

    会社を設立する際は、基礎手続き以外にも行うべき手続きがあります。 社屋関係や労務・社会保障関係、通関関係などの手続きを行う必要があります。

    参照元 ジェトロ(日本貿易振興機構)「メキシコにおける会社設立と清算の基本(2022年3月) JBIC 国際協力銀行「メキシコの投資環境/2024年2月

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