海外赴任時の住民票はどうする?除票のデメリットは?必要な手続きを解説

2025年4月11日

2025年4月11日

住民票と印鑑の画像

このページのまとめ

  • 海外赴任が1年以上になる場合は、海外転出届を出し住民票を抜く手続きが必要
  • 海外赴任が1年未満の場合は、住民票はそのままで良い
  • 住民票を抜いても、厚生年金や健康保険には継続して加入できる
  • 海外赴任の際に住民票を抜くと、住民税を支払わなくても良いというメリットがある
  • 海外赴任で住民票を抜いても、手続きをすればマイナンバーカードを持ち続けられる

1年以上の海外赴任が決まったら、市町村の役所に海外転出届を出し、住民票を除票にする手続きをしなくてはなりません。住民票を抜いてしまって大丈夫なのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、海外赴任で住民票を抜いたら年金や保険、税金がどうなるかを解説します。国外転出届の出し方や住民票以外に行うべき手続きも紹介しているので、海外渡航前の準備にお役立てください。

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海外赴任が決まった際の住民票の対応

住民票の画像

海外赴任時の住民票の対応は、日本を離れる期間によって異なります。

海外赴任が1年以上

原則として、海外赴任の予定が1年以上の場合は居住している市町村の役所に海外転出届を提出し、住民票を抜く手続きが必要です。海外転出届を提出すると、住民登録が削除されそれまでの住民票は「除票」になります。

住民登録が日本国内にない状態になるので、海外赴任を終え帰国したあとは今後住む市町村の役所に転入届を提出し、住民票を復活させる手続きが必要です。

海外赴任が1年未満

海外赴任の予定が1年未満の場合は、海外転出届を提出する必要はありません。短期滞在とみなされるので、国内に住所を残したまま海外赴任することになります。

もし、1年未満の海外赴任の予定が急遽1年以上に伸びた際は、その際にあらためて海外転出届を提出しましょう。

1年以上の海外赴任で住民票をそのままにしたら?

?マークが書かれた木製ブロックの画像

1年以上の海外赴任にも関わらず住民票をそのままにしても、通常は罰則を受けることはありません。実際に、住民票を抜かないまま1年以上海外で暮らしている人もいるようです。

しかし、住んでいない自治体に長期間住民票があることは、さまざまなデメリットがあります。たとえば、日本に長い間住んでいないのにも関わらず住民税を支払わなくてはなりません。また、自治体からのお知らせや郵便物の対応も発生します。

特に理由がなければ、定められたルールに則り、住民票を除票にするのが良いでしょう。

海外赴任で住民票が除票になったら?デメリットはある?

年金手帳と電卓の画像

海外赴任のために住民票を抜いたら、何か不利益があるのではと不安に思っている方もいるのではないでしょうか。ここでは、海外転出届を提出し、住民票を抜いたあとの保険や税金の扱いについて解説します。

厚生年金や健康保険は引き続き加入できる

日本企業に雇用されたまま海外に派遣される駐在員の場合、厚生年金や健康保険はそのまま加入し続けるのが一般的です。そのため、派遣される国に社会保障制度の加入義務があると、日本と居住国の二重払いになってしまう可能性があります。しかし、赴任国が日本と「社会保障協定」を結んでいる場合、外国の社会保障制度の加入が免除される可能性があるのです。

社会保障協定を締結している国で働く場合、5年以内なら相手国の社会保障制度の加入が免除されます。また、年金の加入期間が両国で通算され、受給資格を満たしやすくなるという制度も。国によって協定の内容は異なるので、自分が働く国の状況を確認してみましょう。

日本と社会保障協定を発効済みの国は、2025年4月時点で以下の23ヶ国です。

ドイツ/英国/韓国/アメリカ/ベルギー/フランス/カナダ/オーストラリア/オランダ/チェコ/スペイン/アイルランド/ブラジル/スイス/ハンガリー/インド/ルクセンブルク/フィリピン/スロバキア/中国/フィンランド/スウェーデン/イタリア

※英国、韓国、中国およびイタリアとの協定については、「保険料の二重負担防止」のみ

参照元 日本年金機構「社会保障協定

介護保険の加入義務はなくなる

日本では40歳以上の人に介護保険の加入義務がありますが、対象は日本国内に住んでいる人のみのため、海外赴任になったら被保険者ではなくなります。

「介護保険適用除外該当届・非該当届」を企業の担当者を通じて年金事務所に提出することで、適用除外の手続きが可能です。なお、海外赴任を終えて日本に帰国した際は、再度「介護保険適用除外該当届・非該当届」を提出すると、国内に住所を有した月の翌月から徴収が始まります。

住民税の納付義務がなくなる

住民税はその自治体に住んでいる人が納める税金なので、海外赴任した際は納付義務がなくなります。ただし、1月1日に住所を置いていた自治体に対して住民税を納める仕組みなので、海外赴任をしたその年は納付する必要があるでしょう。

マイナンバーは引き続き使える

2024年5月から、日本国籍のある人は海外に移住した際もマイナンバーの継続利用が可能になりました。継続したマイナンバーカードを所有するためには、マイナンバーカードを国外転出者向けマイナンバーカードに切り替える手続きをする必要があります。

新しいマイナンバーカードは、住んでいる市町村の役所に国外転出届を出すタイミングで「マイナンバーカード及び個人番号カード国外継続利用申請書」も提出することで発行可能です。

市町村の担当者がICチップの書き換えや国外転出者向け電子証明書の発行を行ったあとに、新しいマイナンバーカードを受け取れます。

なお、転出予定日の前日までに手続きをしないと、マイナンバーカードは失効になるので忘れずに行いましょう。

国民年金は強制加入ではなくなる

国民年金保険の加入者だった場合、海外赴任で日本の住所が消去されると加入義務がなくなるため、納付する必要はありません。

ただし、年金受給者になったときに海外にいた期間の受給額加算がないため、金額が減ってしまうデメリットも。リスクに備えたい方は、国民年金保険に任意加入すると良いでしょう。海外からでも日本国内の口座引き落としや、家族や親戚に納付を依頼するなどして、国民年金を納められます。

国民健康保険は脱退になる

住民税の除票手続きを行った場合、国民健康保険は脱退することになります。そのため、頻繁に日本に帰国する予定のある人や、赴任国の医療制度に不安があり日本で治療を受けたい人のなかには、住民票を残し国民健康保険を納付している人もいるようです。

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海外赴任時の住民票の手続き

ステップ1~3の流れが書いてある紙とペンの画像

ここでは、1年以上の海外赴任が決まった人が行う住民票の除票の手続きについて解説します。

住居地の役所窓口で手続きする方法

海外赴任の約2週間前~当日までに、住民票のある市町村の役所窓口に海外転出届を提出します。手続きをするのは、本人か世帯主、一緒に転出する家族です。また、委任状および本人確認書類を一緒に提出すれば、代理人に委任することもできます。

海外転出届を出す際に必要な書類は以下のとおりです。

  • 転出届
  • 本人確認書類
  • マイナンバーカード

赴任先に出発する直前になると引越し準備などでバタつくことが多いので、余裕を持って提出を終えるようにしましょう。

郵送で手続きする方法

国外転出届の手続きは郵送でも可能です。市町村のWebサイトからダウンロードした転出届に必要事項を記入し、本人確認書類の写しとともに市町村の役所の戸籍住民課に提出しましょう。

なお、先述した国外転出者向けマイナンバーカードの切り替え手続きは、郵送やオンラインでは行えません。マイナンバーカードを失効させたくない人は、窓口で海外転出届を出すようにしましょう。

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海外赴任をする人必見!行うべき住民票以外の手続き

書類に記入している様子

海外赴任をする際は、住民票以外にも行うべき手続きがたくさんあります。代表的なものをまとめたので、渡航準備を進める際の参考にしてください。

就労ビザ

海外で賃金を得る活動をする際は、必ず就労ビザを取得しなければなりません。企業が命じた海外赴任の場合は、企業側の担当者が主導して手続きを進めるのが一般的です。とはいえ、自分で用意しなければならない書類も数多くあります。

就労ビザが取得できないと海外赴任ができなくなるので、不備のないよう準備を進めましょう。

銀行口座

日本の銀行口座は国内在住者向けのサービスです。そのため、海外赴任の際に住民票を抜く場合は、解約したり非居住者向けサービスへの登録をしたりしなければならない場合があります。

基本的に何らかの手続きが必要な場合が多いため、利用している金融機関に確認しましょう。

証券口座

日本の証券会社は、法律上国外での証券取引業務を行えません。住民票を抜いて非居住者となった人が日本の口座で証券取引を行った場合、居住国の法律で罰せられる可能性があります。

以上の理由から、海外赴任が決まったら証券口座は解約するか、口座を残すための手続きが必要です。どのような手続きになるかは証券会社によって異なるので、問い合わてみましょう。

自家用車

海外赴任で乗らなくなった自動車は、そのまま保管しておくと自動車税や駐車場代がかかってしまいます。また、長い間走らないでいると車の状態が劣化する恐れがあるでしょう。

1年以上の長期の海外赴任になる際は、売却して手放すほうがスムーズです。車に思い入れがあり帰国したときにまた乗りたいと考えている場合は、預かりサービスの利用や一時抹消登録をして保管する方法があります。一時抹消登録をして親戚や知人の家に停められれば、駐車場代もかかりません。

また、車の名義変更をして信頼できる人に乗ってもらう方法もあります。車は定期的に乗ることで状態を維持できるので、愛車を手放したくない人におすすめの手段です。

赴任先に持っていくこともできますが、運搬費用や関税などのコストがかかるほか、車両登録をはじめとする手続きが必要となります。

子どもの学校

子どもと一緒に海外に渡航する場合は、学校の手続きが必要です。日本を発つ日程が決まったら、子どもの学校に事情を説明し、退学届を提出します。日本の学校に作成してもらう書類は、現地でどのような学校に通うかによって異なるので、子どもの担任とよくコミュニケーションを取りつつ手続きを進めましょう。

転校の手続きと併行して、現地で通う学校の選定も必要です。一般的には、子どもの年齢が幼かったり数年で帰国予定だったりする場合は、日本のカリキュラムで学べる日本人学校に通うのが良いといわれています。子どもが中高生、または低学年でも語学力を身に付けさせたい場合は、現地校やインターナショナルスクールに通わせる選択肢もあるでしょう。

免許証

海外赴任が決まったら免許証の更新期限をチェックしてください。海外赴任のために更新手続きができない場合は、特例として期限前でも免許の更新手続きをすることができます。免許センターや警察署で手続きを済ませておきましょう。

住まい

現在住んでいる持ち家が海外赴任によって空き家になる場合、持ち家をどうするか検討しなければなりません。誰も住んでいない家は建物や家具が傷んで劣化していきます。売却や賃貸、空き家管理の依頼など、必要な手続きを進めておきましょう。

家を建てて日が浅く、数年で帰国が予定されている人は、売却せず定期賃貸借契約で家を貸し出すケースが多いようです。なお、帰国が決まっても契約期間中は借主が住んでいるため、一定期間住む賃貸住宅を探さなくてはならない可能性があるでしょう。

賃貸の場合は、不動産会社が定めた期間までに退去の連絡をしましょう。1ヶ月前までに伝えれば良いとしているところもあれば、2~3ヶ月前までに連絡が必要なケースもあります。

ライフライン

家を残す場合であっても、電気、ガス、水道など、海外赴任中に使わないライフラインは解約しておきましょう。また、インターネット回線や新聞の解約も忘れてはいけません。

なお、固定電話や携帯電話の電話番号は、同じものを保管しておくことができます。以前と同じ電話番号を使いたい人は申し込んでおきましょう。

生命保険

生命保険は、保険会社に海外赴任をする旨を伝えて海外渡航届を提出すれば、加入を継続できます。ただし、海外赴任が長期になる人は、生命保険を解約してその代わりに海外でのトラブルに対応しやすい長期海外保険や駐在保険に変えるケースも多いようです。

保障を受けたい内容や海外渡航の内容、帯同家族の状況も含めて総合的に決めましょう。

健康診断

労働安全衛生上の取り決めにより、6ヶ月以上海外に従業員を派遣する事業者は、渡航前と帰国後に健康診断を受けさせなくてはなりません。そのため、通常であれば企業が実施する健康診断を受けることが可能です。

渡航先では十分な医療を受けられない可能性があります。基本健診に追加して、できる限り多くの項目の検査を受けるのがおすすめです。また、法律で定められているわけではありませんが、帯同する家族も健康診断を受けると安心でしょう。

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